官能評論家で、大変お世話になった永田守弘先生が20日に他界なさった。 数年前の文芸家クラブの二次会で、「あまり呑まれないほうが」と忠言したものの、ここぞとばかり、お好きな日本酒を手酌でぐいぐい開けておられた。 途中でお帰りになるとき、あまりにも足元がふらついているので、心配になって店の外まで送っていった。それでも心配で、交通量の多い横断歩道を一緒に渡り、駅の近くまで、送っていった。そのとき、「ありがとう」と頭をさげられて、ふらつきながらも改札を潜られた。それが、私が先生を見た最後になった。 文学としてはマイナーな官能小説の紹介、評論をひたすらされた。そういう評論家は初めてで、しかも、大手から官能評論や官能辞典を出された。 ある意味、開拓者だった。月に数十本の官能小説を読んで、選びながら紹介することをライフワークとしてつづけられた。これは、できそうでちょっとできない。 しかも、基本的に「官能小説ってすばらしいんだ」というスタンスに貫かれていて、この公平さもすごい。今後、こういう方はまず出ないだろう。 私も随分と多くの作品を取り上げていただき、感謝しかない。 天国で、好きな官能小説を読みながら、好きなお酒を好きなだけ呑んでください。 こういう時期で、葬儀は内々でされるそうで、お見送りをできないのがつらい。 |